F-connectが施設の子どもたちのために作ったバッグ
子どもたち、そしてサポーターの、そしてF-connectのためのバッグ

F-connect発足のきっかけ
活動のきっかけは「児童養護施設への訪問」から始まりました。
小池純輝選手は、当時所属していたチームからの依頼で児童養護施設への交流を打診され、「サッカーをすればいいのかな?」くらいの軽い気持ちで、鎌倉にある施設へ訪れました。
児童養護施設には、虐待や親の事情などにより家庭に居られなくなった2歳から18歳までの子供たちが、共同生活をしながら生活しています。
友人の梶川諒太選手と共に施設を訪れた小池選手は、まず通された部屋に丁寧に飾られた大きな「ようこそ!」という子供たちからの熱烈なメッセージと、交流が始まってからの歓迎ぶりに、驚きを隠せませんでした。
自分たちが訪れることをこんなに楽しみにしてくれていた、という純粋な驚きです。
一緒にサッカーを楽しみ、のちにスタジアムの観戦へ招待すると、決して短くない1試合を通して、子供たちは熱心な声援をくれました。
その声援に、純粋な喜びを小池選手は感じました。

みんなで目指す高み
プロスポーツというのは、チームだとしても孤高を目指すものです。
練習と試合を繰り返し、自己鍛錬を積み重ねて、唯一の高みを目指すもの。
必然的に、社会からは閉じた空間になりがちです。
児童養護施設への訪問をきっかけに、その空間に広がりを感じました。
その後、自主的に児童養護施設への訪問を繰り返し、子供達と触れ合うことで、フットボールのもつ別の「大きな力」を小池選手と梶川選手は感じていき、何か子供達にフットボールを通じて、支援することはできないか、話し合うことが増えました。
夢でもあったプロサッカー選手になった自分自身を子供達に見せることが、施設にいる子供たちが夢を持つことに繋がらないだろうか。
声援が力になり、自分たちが試合を動かすことで何かを、子供達に与えられないだろうか。
「フットボールで繋げる。フットボールが繋げる」
児童養護施設の支援を目的に立ち上げたF-connectの掲げるコンセプトには、フットボールの持つ純粋な力を信じる気持ちがこもっています。
F-connectの代表である小池純輝、梶川諒太の両選手に、これまでのF-connectの活動を、きっかけから今に至るまで見て、感じてきたことを伺った。
小池選手の語るF-connect

セカンドキャリア問題
プロのアスリートは「競技者」として人生の大半を過ごします。生活の大半を競技に捧げ、練習と試合を繰り返し、唯一の高みを目指します。その姿に人は憧れを抱き、夢を持ちます。しかし、同時に競技者には引退後の「人生」もあるのです。「競技者」としての人生を終え、比較的に若い時期に訪れる引退後の「人生」は、練習と試合を繰り返した選手にとって、「セカンドキャリア」と言われても、大げさにいえば、突然社会に放り出されたも同然といえます。

競技者と「人生」。
F-connectでは、児童養護施設への訪問をきっかけにした社会との関わりから、そうした気づきがあり、それを学びに変え、現役の競技者のうちに社会との繋がりを作る「デュアルキャリア」という考え方を掲げ、活動の幅を広げています。
- 児童養護施設へのアポイントメイン・招待のチケット手配などを選手自ら能動的に段取り、実績として活動報告を行う。
- 長野に「エフコネファーム」という農場を持ち、施設の子どもたちを招いての農業体験を行うなど。
児童養護施設への支援という活動から、さまざまな繋がりや気付きを経て、選手自らがフットボールを軸とした人生設計を作り出していく場としても、F-connectは動き出しています
F-connect広報の沼澤氏は、早くから選手のセカンドキャリア問題について考えていました。サッカー選手としての夢を実現した選手たちへの憧れを、単なる憧れに留めてはいけないと考えています。どこから見ても健全な状態へと変化させなければいけないと考えました。
F-connectとデュアルキャリア
LEKTからの提案
バッグブランドLEKTの代表である渡利ヒトシは、F-connectの思いに強く共感しました。協賛の依頼を受けてまず思ったのは、もっと深く、F-connectとの繋がりを強めたいという気持ちでした。プロダクトデザイナーとして、この活動の意義に貢献できることを考え、ひとつ提案をします。「施設の子どもたちのためのバッグを作り、F-connectで販売しませんか?」いま、世の中には無数にものが溢れています。バッグも、安いものから高いものまで、必要十分に供給されています。そのなかで新たに「ものを作る」ということに疑問を感じていた渡利にとっても、F-connectが、純粋に施設の子どもたちのために作るバッグというのは、是非とも挑戦したいプロダクトでした。
全てに意味のあるプロダクト
両者の意義が強く噛み合い始まったプロジェクトは、F-connect主導で進んでいきます。施設の子どもたちへ、実際に使っているリュックの種類や、大きさなどをヒアリング。単純なアンケートでは得られないリアルな声や要望を受けて、徐々に作るべきものの形があらわになっていきます。それはもちろん、社会への関わりという形で意義があり行動でもありました。現れた子どもたちのためのバッグの姿は「普段も使えてスタジアム観戦へ持っていくリュック」

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F-connectのこれまでの活動と、LEKTの持つバッグ作りへの造詣の深さが繋がり、そのリュックは「子どもたちの、そして応援してくれるサポーターたちが使えるリュック」へとも変化していきます。
何度もサンプルを作り、使い方をサポーターを交えて検討し、言葉をかわします。従来のもの作りから徐々に離れていくプロセスは、しかしF-connectのフットボールが繋いだ絆があったからこそできる、唯一無二のものづくりになっていきました。そしてこの経験は、F-connectをより強固にしていくと皆が実感しています。

提案の意味
LEKTの代表のデザイナー渡利は、長らくバッグや靴などのプロダクト制作に関わってきました。今回のプロジェクトの重要な点と、作り出した。

未来のユーザーボイス
児童養護施設からの聞き取りでわかったことは、その多様性でした。まず大きな違いは、体の大きさがあげられます。施設には小学生から高校生まで、幅広い年齢の子供たちがいます。中学生に上がると、学校の指定カバンがない子供は、好きなバッグを背負って毎日通学を行います。子供たちが長い年月、毎日使える丈夫なもの。そして、スタジアム観戦という観点からも、サポーターから「丈夫さが欲しい」という声があがりました。スタジアム観戦中は無造作に足元に荷物を置くことが多く、その足元の大半は硬いコンクリートです。

形作られていく〜
雨に強くあってほしい。毎日の通学。雨の中の観戦。どちらにも共通する機能が徐々にTIESを形作っていきました。特にサイズ感に関しては、さまざまな年齢、体躯の人間に背負ってもらい確認を行います。渡利も自身の息子に背負わせ、その大きさのバランスと共に、使用感を聞き取りました。何度もミーティングやサンプルの使用感を聞いていくなかで、数々のアイデアが盛り込まれていきました。

必要な機能がうまれる〜〜
中でも、PCケースのクッションを取り外して、硬いスタジアムの椅子の上に置く座布団にするというアイデアは、一般的なバッグの作りを少しズラすことで生まれた面白いアイデアでした。さらに、好きなキャラクターや選手のグッズを持ち歩きたい、という子供が(もちろん大人も)多く、一般的なカバンよりも少し多めにループを取り付けています。一般的なバッグとして必要な機能と、児童養護施設の子供たちが喜んで使え、そしてスタジアム観戦に特化した機能。それぞれが日常の地続きで実装されながら、TIESの形は出来上がっていきます。どれも、独自の観点があり、一見すると奇抜にうつりかねない機能も、落とし込みサンプルを重ねるごとに「毎日、誰もが使えるリュック」としての完成度が高まっていくのを感じました。それは、誰かが必要とする、という純粋な願い、そして未来のユーザーが作り出す機能であるから実現できたことでした。
そして、TIESのメインコンパートメントには大きな紙に似た質感の丈夫な生地を使った、余白が大きなタグが。その下にあるゴムのループにはペンを忍ばせることで、いつでも好きな選手からサインをもらうことができます。それはただのサインじゃありません。本当に自分だけの、世界に一つだけのリュックになる大切な場所。TIESだから実現できる、選手と自分との繋がりを作り出す、「繋ぐ(TIES)」という意味をもつリュックは、F-connectが目指すフットボールでの選手との繋がりを具現化しました。
tiesを実際使用してみて
LEKT-TIES
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サイドポケット
サイドには大きなポケット。子どもたちがサッカーをする時のため、レガースを入れられる大崎に。水分補給が大事な観戦には、500ml以上のペットボトルも。
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内装ポケット
内装には小物が収納可能なペンポケットなどに加えて、選手のカードをしまうことができるクリアポケット、チケットが入るファスナー付きのクリアポケットも。
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背面取り外しクッション
背面のコンパートメントには、PCポケットと共に、浅めのファスナーポケット。充電器などすぐ取り出したいガジェットを収納。
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複数のループ
3箇所のループを各所に配置。ICカードや推しのキーホルダー、自分の好きを繋ぎ止められて、さまざまな活用が可能。
Ties
